2009年イイヅカ・サトコ石版画復活への道-17
カラーリト(多色刷り)その3

             
2009.10.19.
刷り色を決める。
カラーインクを混ぜ合わせて作る。もちろん混ぜずに単色で使っても良い。
たくさん刷る人はたくさん作っておかないと、
正確にグラムを測るわけではないので、あとで同じ色は作れない。
私はよくケチケチ作って、途中でインクが足りなくなり「アホ」と呼ばれる。
弾力のあるヘラでよく混ぜ合わせる。
ローラーにまんべんなく付ける。
製版墨を灯油で落とす。
墨刷りの時より念入りに落とさないと色が汚くなるので、
より揮発性の高いリグロインを使うこともある。
版にインクを付ける(「インクを盛る」と呼ぶのが専門っぽい)
版に紙を載せ、プレス機で刷る(今までと同じ)
刷り上がったら、版を濡らすのを忘れずに。
一版目ブルー版の完成。
           
*インクの練り台や、石版石の上にインクを付けた時と、
紙に刷った時とでは、ずいぶん色が違って感じる。
インク練り台は使ってるうちに黒ずんでくるし、
石版石は元々クリーム色っぽい(グレーの石もある)から、
インクの色はすごく明るく感じる。
紙はインクを吸い込むから、思ったよりもマットな感じになる。
        
        
*それから、前項の「見当」で「いつも紙の決まった位置に印刷」と書いたが、
紙の伸び縮みや、穴の広がりによる誤差がある。
例えば「今の青版が思ったより薄かったから」と思って、
同じ版をもう一回刷っても、同じ位置には刷れない。
ブルー版ならぬ、ブルブル版。じーっと見てると何か目がイライラするぞ。
(まあ、わざとこういう効果を狙うのも良し。)
         
            
*「刷り順」について。
どの色版から作り始めるかは好きずきだが、
なるべく薄い色、白に近い色(黄色とか)から刷り始めたほうが無難。
リトグラフ用のインクは、比較的透明で、下の色を完全に覆い隠さないから、
(それゆえ色重ねで絵を作っていくことができるわけで、)
一版目から濃い色や強い色を使ってしまうと、後々困ることもある。
         
また「墨刷りを一番初めにしてしまうと塗り絵っぽくなる」
と嫌う人もいるが、それも好きずき。
確かに「主版(おもはん)」と呼ばれる、メインになる版を、
先に刷ってしまうと、塗り絵にするつもりはなくても影響は強い。
           
「墨のきっちりとした線で絵を引き締める」
ならば、いちばん最後に最小限の線で描くのが効果的。
ただ、それも好きずきで「最後に主版を刷ると墨が生々しい」と、
途中で墨版を刷って、さらに何版も色を重ねる人もいる。
・・・さらに私のように、主版を刷らない!!という人もいる。
あ、だから締まりのない絵なのか〜(笑)
            

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