Adilaから


【パレスチナフォーラムMLより】
サカキーニ文化センター所長の緊急報告

今日、2002年4月15日、ラマラ市に出されていた外出禁止令が4時間の間、解除されたため(通算4度め)、私たちはサカキーニ文化センターの構内に入って、2日前の4月13日(土)にイスラエル軍によってなされた破壊行為の被害状況を検分しました。

私たちが目にしたのは、パレスチナ建築の美を集約したこの美しい古い建物が見る影もなく無惨に破壊されつくした光景でした。センターの中間階の窓はことごとく割れ、ヴェランダのガラスは、2カ所の金属ドアが吹き飛ばされた際
の2度にわたる衝撃で、すべて粉々に砕け散って、ヴェランダ/会議室とロビーの床は、どこもかしこもガラス片で覆いつくされていました。

詩人のマームード・ダルウィッシュが使っていた部屋も含めて、4つのオフィスはすべて徹底的に荒らされていました。アンティークの作り付けの戸棚とデスクの引き出しの中身が床にぶちまけられ、書棚はたたき壊されて本が床に散
乱し、木製のドアがひとつ、完全に破壊されていました。全体の損傷がはたしてどれほどのものになるかは、改めて本来の業務に戻ってからでないと、とても正確に判定できるものではありません。しかし、とりあえずの検分ははたす
ことができました。

美術品の一部と独自の精密な装飾をほどこしたアンティークの鉄製のドアが、修復不能な損傷を受け、電話の交換機が破壊され、電気配線が切断され、警報装置が機能しなくなっていました。爆風でラジエーターが破損して、こぼれ出
た水がロビーの床全体を水浸しにし、大型の金庫は無理やりこじあけられ、衝撃で飛び散ったガラス片があらゆる場所の壁と天井に無数の深い傷跡を残していました。持ち去られたものは、メイン・コンピュータのハード・ドライヴ、こじあけられた金庫から数千NIシェケルの現金、そして携帯電話。これらの惨状は写真とヴィデオテープに収めました。

カーリル・サカキーニ文化センターは、1996年に創設された非政府組織=NGOで、様々な芸術活動とイヴェント、また、パレスチナの伝承文学に関する特別プロジェクトなどの活動を行なっています。また、現在の侵攻が始まる1週間
前には、ふたりのノーベル文学賞受賞者、ナイジェリアのウォール・ショインカとポルトガルのジョゼ・サラマーゴを含む、国際的な作家たちで構成された文化使節団の訪問を迎えました。

アートと文化関係の数々の組織も、この2週間、パレスチナの公的機関を次々に襲った体系的な破壊と暴虐行為の流れからまぬかれることはできませんでした。サカキーニ文化センターのほかにも、ラマラのクァッサバ劇場&シネマティークが侵入・破壊行為を受け、同じくラマラのフランスとギリシャの文化センターの収蔵物が甚大な損傷を受けました。ベツレヘム平和センターと文化省のラマラ本部は、現在もなお占拠されています。

イスラエル軍の侵攻が始まった当初から、サカキーニ文化センターのスタッフは包囲された状況下で、包囲下での人々の生活に関する証言や、子供たちの手紙と絵を集めたり、様々なメディアへのアピールを行なったり、ジョージ・
ブッシュへの公開レターを発表したりといった仕事を続けてきました。これらのドキュメントはすべて、http://www.intertech-pal.com/siegeで読むこと
ができます。また、こうしたドキュメントを集中的に掲載しつづけているサイトに、http://www.alnakba.org/siegeがあります。

イスラエル軍によるサカキーニ文化センターへの侵入・破壊行為は、過去2週間の、その他の公的機関や一般家庭への侵入・破壊行為のパターンと完全に一致したもので、「テロと犯罪行為」という2つの言葉に要約することができま
す。このパターンは、パレスチナの公的機関・組織がなしとげてきた具体的成果や業績、収集品を徹底的に破壊するという明白な意図を見せつけ、ついでに、組織的と言っていい形で、こそ泥のような窃盗行為を働いていくというも
のです。

ジェニン難民キャンプでの暴虐きわまりない虐殺行為に典型的に表われているとおり、人間の命をまったく尊重せず、また、中世さながらにベツレヘムの聖誕教会を包囲しつづけている事実に象徴されているように、聖地に対しても
いっさいの尊重の念を持っていないイスラエル軍――彼らは、ここでもまた、人間の文化的遺産の尊厳に対して、わずかな敬意すらないことをはっきりと示していると考えざるをえません。

A・ラウディ、KSCC(カーリル・サカキーニ文化センター)所長


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