5日目(2)へ


闘牛は4日間行われた。

この日が初日。

1日24頭のウシたちを相手にマタドールとバンデリジェーロが死闘を繰り返す。

午前中会ったバンデリジェーロのおっさんの勇姿!

  

バンデリジェーロとは、

バンデリージャと呼ばれる装飾された2本の銛(もり)を

ウシの肩に刺す役目の人のことである。

突進してくるウシの正面から刺して、素速くよける。

身のこなしが遅いと、ウシの角の餌食になる。

刺されたウシは、その痛さから興奮し更に闘争心むき出しの状態となる。

闘争心むき出し状態のウシを相手にするのは、マタドール。

赤いマントの中には、ウシの心臓をひと突きするための

長い剣を隠し持っている。

ウシは揺らめく赤いマントをめがけて何度も突進を繰り返す。

その度に、ひらり、ひらりとマントをひるがえして身をかわすマタドールの姿はかっこいい。

そして、正面から向かってくるウシの肩越しから心臓めがけてひと突き!

力つきたウシは、ついにドサッと倒れる。

短刀でとどめをさす。

  

ここまでのバンダの演奏は、いかにもスペイン風の勇ましい曲を演奏しているのだが、

ウシが倒れたと同時にペルー風のワイニョの曲になる。

演奏でも緊張と緩和が表現されていて面白い。

ワイニョの曲が始まると、

このウシの関係者がビール瓶を振りながら登場。

倒れたウシにいっせいにビールを浴びせる。

そして、牛車に首をくくられ、引きずられて退場。

    

以上が、闘牛の流れである。

そして、これを1日24頭分繰り返すことになる。

ショーとしては、ドキドキ、ハラハラ、悲鳴をあげたり、

拍手したり、とても楽しかった。

ただ、中にはなかなか倒れないで逃げ回るウシもいたりして、

複雑な気持ちになったりもした。

観客は、家族みんなでお弁当やお菓子を食べながら闘牛を楽しむ。

ウシの殺されるところを見ながら食事をする感覚は、

日本人からすると、かけ離れているかもしれない。

でも、長い歴史の中でひとつの文化として指示されている以上、

目の前で起こっていることをただ受け入れるしかないであろう。

日本の「捕鯨文化」がチラリと頭をかすめた。

  

日没とともに闘牛は終了。

明日は、ヨランダのウシが出るという。

再会を約束して別れる。

  

夜は、ペーニャにバモス!


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