〜日記のようなコーナー〜

2001年3月11日
150年前の写真集
マクシム・デ・カン展というのを見た。
三鷹市美術ギャラリー(JR三鷹駅南口前CORAL5F/3月25日まで)
1849年まだ発明されたばっかりの写真機を持って、いきなり中近東に旅した27才のフランス人青年が、帰国後「エジプト・ヌビア・パレスチナ・シリア」という写真集を発表。
(「ウォォォ、カメラ買っちゃったぜ!何撮ろっかな?そうだ、エジプト行こう!」みたいなノリだったんじゃないかな。と想像する。)撮った本人が思った以上に歴史的価値が高かった、と思えるところが面白かった。
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なぜかというと、本は歴史家達の間で評価されたが、彼自身はその一冊の出版以降、別に何か歴史的な発表するでもなく、他の地域を撮った写真集を出すでもなく、どちらかというと、美術評論や小説を書いたり、芸術家としての活動を目指し、そのうち忘れ去られてしまうのである。そんな一発屋的なところも私は大好きだぞう!
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写真の多くはモスクなどのいわゆる「エスニックな」建築物と、エジプトやシリアの発掘途中の遺跡で、まだ半分砂に埋まっているスフィンクスとか妙に愛らしい。コタツから上半身だけ出したネコみたいだ。
半分ぐらい見たところで突然写真のすみっこに「ふんどし一丁でポーズとるヌビア人」が映っているのに気づき、最初にもどってよく見ると、すごーく遠くから全体を撮ったやつにも、柱1本を近くで撮ったやつにも同じ人が同じポーズとってるので、建物の大きさを表すためだったのか、なかなかやるな、とあらためて感心した。

2001年3月7日
ネコなのに、ぬれネズミ。
津田明人写真展「路傍の猫」というのを見に行った。
3/15までGuardianGarden(銀座7-3-5リクルートビル)
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写真集「路傍の猫」2,400円(メディアファクトリー)
に収録された写真のパネル展示なのだが、ノラ中のノラ、目ヤニバッチリ、体毛ヨゴレべっとりのタクマシイ猫達である。今までこんなキタナイ猫ばっか撮った写真集は見たことなくて、うれしくって写真集買ってきてしまった。
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会場には他にファイルが1冊あるだけで、そっちはノラ犬ばっか撮ったやつだ。さすがに舞台は日本ではなかった。日本で今写真集作れるほどノラ犬いないもんね。ただ、シカゴまで行って帰ってきて何でノラ犬猫なんだ?ととても気になった。何かにすごく傷ついたのではないか?と。まあ、アーティストとして他のものはいっさい省いてスタイルを作っただけのかもしれないけどね。
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平日の早い時間だったせいか、作者には会えなかった、1966年生まれ、1988年に突然会社を辞めてアメリカへ行って、それから写真を撮り始め、1994年帰国してアルバイトしながら写真を撮っている、ということぐらいしかわからない。これだけ読むかぎりでは私の身の回りにたくさんいる仲間にそっくりだ。仲間、というのは写真家もいれば、絵描きもいれば、ダンサー、歌手、演奏家もいる。そして私達はいつも迷いとか挫折とかともいっしょにいる。困ったことにそれも切り離せない仲間みたいなものだ。
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・・・ってそんな歌あったりして?青春っぽすぎたかな。(照れ)

2001年3月6日
新しい、遺跡。
アンデス文明研究会の特別公開講座「チャンカイ谷・ワルメイ谷の古代文化」というタイトルで、ペルー人考古学者ワルテルさんという、天野博物館の研究員の人が来日して講演するというので、せっかくだから行ってみた。
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東大駒場の14号館文化人類学講義室という教室を借りて行われたのだが、場所がさっぱりわからず、30分も構内をウロウロして、2回も警備員の人に聞いてしまった。 学生に聞いても一様に「さあ?」と言われる。何だこいつら!と思ったが、自分も考えてみたら女子美のあの狭い杉並校でさえどこに何があるか解らないまま卒業してしまったぐらいだから、自分と関係のない校舎のことなんて知らないのは無理もないことだった。
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アンデス文明研究会というのは、中南米の遺跡の発掘をしている教授などの話しをきいたり、スライドを見たり(年に何回か実際に発掘を体験しに行く人もいるようだが)ほとんどがただアンデス地方の古代文明が好きな人の集まりで、見た感じかなりの割合でおじいさんおばあさんだ。5〜6年前に1年間だけ在籍したのだけれど、講座がかならず土曜日なので、時間がとれなくて行かなくなってしまった。会員でなくなったので会報のようなものは来なくなったが、こういう特別な講座があるときはハガキをくれる。マメだ。
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チャンカイ文明というのはインカ文明のちょっと前か同時代ぐらいなので、遺跡としては、他のナスカ文化とかモチェ文化とかの時代にくらべると「新しい」時代のものらしいのだが、遺跡のくせに新しいって言い方が何となく通っぽいな、と、ひとり妙なところで悦に入ってしまった。

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